佰食屋と、コロナ禍での飲食業の破綻
コロナ禍で最も破綻件数が多かったのは飲食業だった模様。その数は2023年4月までで943件。
その他、建設業やアパレルが件数としては続き、1位の飲食業に関連する飲食料品卸売業、そして海外からのインバウンドと国内ともに影響を受けたホテル/旅館の宿泊業が上位を占めている。
都道府県別、業種別、負債額別、(破綻の)形態別、従業員数別で統計データがまとまっているのでご関心あればご一読を。
個人的には、飲食業って家庭料理の延長線的に考えられたりヒトの温かみが感じられて手触り感のあるステキな業種だなとは思っている。一方、「仕入れて作って売って粗利を再投資か分配する」というビジネスの回転と資金と回し続ける体力という点では、結構難易度が高い業種だなと捉えている。
「佰食屋」を運営されて『売上を、減らそう。』も執筆されていらっしゃる中村朱美さんの考え方は個人的に好きで、業種・業態としての考え方としては最適解の1つだなと思っている。
すごく端折ってあえて表現してしまうと「最適なサイズと循環」を実現されていらっしゃると解釈しているが、
- 損益分岐
- 時間、時間帯
- 分配金額
- メニュー
- 立地
- 提供までの流れ
- 仕入れ(価格、仕入先選定、安定供給)
- 提供価格
- 採用
などをまとめ上げて継続的に運営するのは、最適なサイズと循環を追求してこそだなと。
逆に業績(簡易的に売上高と利益の金額とすると)の最大化を志向すると、外的環境が変動したときに個社の業績の振幅が大きくなる(売上が100億円で20%減少したら20億円、1,000万円で20%減少したら200万円で、売上が大きい方がインパクト時の絶対額のダウンサイドが大きくなる)ので、最適なサイズを実現してこその場合と比べて業績のレジリエンスが下がる。
最適なサイズを意図的に設定すると、こういったコロナ禍のような外的環境の変動時の業績レジリエンスが相対的に取りやすくなる。
とまあ勝手に浅いコンサルチックなことを書いてみたが、中村朱美さんはコロナ禍になって、佰食屋だけを残し、他にも展開されていた3店舗は閉店することを決断されている。
中村さんは2018年の大阪府北部地震や西日本豪雨など大きな自然災害を経験され、そのときの自然災害としての経験とともに、今回のコロナ禍の状況との違いを抽出し、復興の見込み・兆しについて分析し、3店舗の閉店を決断されているとのこと。
繁華街にあった2店舗は客足が激減し、一方、住宅街にある2店舗はコロナ禍前と業績は変わらなかったようで、飲食業としての佰食屋以外の店舗でのモデルも外的環境の変動をもろに受けている状況がうかがえる。
こういったなかで、一次は飲食業は補助金をジャブジャブ受け取っていたが、それでも倒産件数が最多の業種となるような経営の難しさとミクロ経営の多さとを反映している統計データだなと感じた。